コラム
9月30日(日)11:30~12:20
bon ponさんに聞く「身の丈暮らし」の楽しみ方
リンクコーデ(完全なペアルックではなく似たようなアイテムや色柄などを部分的にリンク=関連づけること)が話題となり、Instagramで75万人のフォローワーを魅了するbon ponご夫妻が、住まいとファッションについて語りました。
bon ponご夫妻が秋田でふたりの娘さん、お母様と同居しつつ約30年暮らしたという戸建のお家は、奥様のponさん主体で間取りが組まれました。洗濯物を室内に干せる仕組みや、吹き抜けで全館暖房といった雪国ならではの工夫も加えられた新築住宅でした。
おふたりはこの家に愛着はあったものの、娘さんたちが家を巣立ち、お母様を亡くすと、ふたりだけで暮らすには大きすぎると感じるように。それをきっかけに、ご主人のbonさんが定年退職した後の、新しい住まいについて考え始めることとなりました。
新居の候補としたのは、かつて住んだことがあったり、ご親戚がいるといったゆかりのある場所である東京・千葉・仙台から選ばれました。広い家と庭のある秋田を離れ、「駅チカ」「マンション」を条件にした築30年の物件と仙台で巡り会います。
「はじめて内覧に行ったところが条件にピッタリだったので決めてしまったんです」
不動産屋さん自身も住む物件という安心感もあり、ポイントを押さえたリノベーションを加えたことで、おふたりにとってはじめてのマンション暮らしも大満足の結果になったようです。
玄関脇の一部屋はクローゼットに充て収納を確保。物持ちのいいお母様が膨大に抱えていたふとんや食器などは、2人分+αに抑えました。さらに、bonのミニーカー、ponさんのぬいぐるみといった自身のコレクションも、半分以下に泣く泣く絞り込んだそう。それにより、いまのおふたりの身の丈にあった暮らしのアイテムによる「快適」(bonさん)で「スッキリ」(ponさん)した生活が可能となったのです。
こうしていまの自分たちに見合った住まいを手に入れたお二人ですが、目下いちばんの課題は、家事です。
「退職したら家事見習い」とおっしゃるご主人のbonさん。「どちらかが病気などになっても補い合えるように」と、積極的に奥様のponさんの家事を手伝うそうです。
「たとえカンタンなものでも料理をつくれば娘が喜んでくれる。クックパットをみながら台所にも立つんですよ」とponさんも嬉しそう。
実はリンクコーデも、こうしたご家族の関係性から生まれたものでした。
きっかけは、オシャレ好きな娘さんがご両親のbonさんponさんに、服の色を揃えて出掛けようと頼み、Instagramにアップしたこと。するとイイネが沢山ついたそうです。
そこでこんどはbonさんとponさんがご自身のアカウントで、「一緒に出掛けたときの記念に」しようと、共通の趣味として写真をアップするようになったのです。
さて、お二人だけで出掛けることの多いいま、お出かけ服はどんなプロセスで決めるのでしょう?
それは、奥様のponさんが先に決め、そのスタイルにご主人のbonさんが合わせるのだとか。
「でも、結構ダメ出しされるんですよ。今日の服装も、チェック柄が大きすぎるとか(笑)。赤の服は持っていないので、じゃあ靴下ぐらいは赤にしよう、といった流れでこのスタイルになりました」(bonさん)
お出掛け前のやりとりが目に浮かぶようですが、毎回きちんとまとまるのは、どうやら流行に左右されないベーシックなスタイルがお二人ともお好きなこと、その結果、手持ち服が合わせやすいということもあるのでしょう。
でもそれ以上に、「退職したら社会とのしがらみもなくなるので服装も自由にしていいんだ」と果敢に赤を選ぶbonさんの懐の深さに感心することしきり。
もちろん、おふたりに間に娘さんが入ることで、bonさんも恥ずかしがらずはじめることができたのでしょうね。娘さんが赤いセーターを買ってきて着るように勧めてくれたりもするそうで、そりゃあ絶対にお父さん、素直になってしまいます。
「いくつになっても褒められると嬉しいものですからね」(bonさん)
さて、当日のスライド写真では、お二人の住まいのインテリアも紹介されました。
するとさすがはbon ponさん、秋田で40年使い慣らしたダイニングと新たに購入した椅子が違和感なくリンクコーデされていました。
そのコツは?との問いに、「だいたいでいいんです。色を合わせることで自然とまとまる」とbonさん。おふたりの間でスペースの使い分けもできているようで、主にponさんがPCを、bonさんはテレビを占有するそうです。もっとも、PCエリアはよく奪い合いとなるとか(笑。
さて、そんなお二人、喧嘩することもあるんでしょうか? また、ご夫婦仲を保つ秘訣は何でしょう?
「喧嘩したまま出掛けることはありませんね」(ponさん)
それはきっと、働き詰めのbonさんと家事に追われるponさんが秋田で3世代同居をされていたときに培われた、あうんの”間”なのでしょう。おふたりだけになり、それを恥ずかしがらずに表現できるようになったいま、「一緒にいる時間がやっと取れて嬉しい」(bonさん)という言葉に集約されるように、目に見える形で思いやる表現となってあらわれたのでしょう。
これからも共通の趣味としてInstagramがあり、日々健康で、出掛けるのが楽しい毎日。お二人で出掛けた先とそのとき着ていった服の記録が積み重なっていく。
出掛ける前になされたであろうお二人の間のやりとりに至るまでを、世界中のお友達ともリンクしながらInstagramで振り返るとき、互いのことを気遣いつつ一日一日をていねいに暮らしてきた記憶の束は、豊かな創造物となってまた蘇ります。それが一枚の写真に収まろうとすることであり、ひとつの住まいに暮らすということであり、その瞬間・瞬間の“いま”を丁寧に残していくことでしかえられない、かけがえのない豊かにつながるのでしょう。
トークショウコーディネートおよび司会のブルースタジオ広報 及川静香さん
bon ponさんのInstagram@bonpon511