コラム
8月3日に東京・永田町でリノベーションビジネスセミナーが開催されました。
住宅情報誌SUUMO編集長の池本洋一さんが登壇し、住宅マーケットの市場動向から分析を開始。
マンションは、新築分譲が少しずつ減少。その分、中古買取再販が活発化するといいます。新築同様、入居者がいないキレイにな状態で内覧を気軽かつ自由にできるのがウケているというのです。
一方の戸建てはピークと同水準を維持して好調。中古もこれにやや遅れる形ではありますが上昇基調であることが示されました。また、ドイツでも流行の断熱改修のような住宅基本性能を向上するリフォーム・リノベーションが今後のトレンドと指摘します。
気になるのは来年予定されている消費税アップとの関係。しかし、政府の2018年骨太の方針でも既存住宅市場の活性化が掲げられており、消費税アップ後の需要減を緩和するために住宅ローン減税などの施策が予定されており、駆け込みに起因する混乱は限定的だろうと池本さんはみています。
つぎに、若年層を中心に、近年の住宅に求められるトレンドについて。何より「時短ニーズ」が高まっているといいます。
キッチンのトレンドだけみても、日常生活の利便性を求め、L型キッチンカウンターやダイニング続きのような間取りが増えているといいます。
※写真=リノベーション・オブ・ザ・イヤー2015[カジュアルリノベーション賞]空間社事例
今後働き方改革が進めば、郊外居住でも仕事ができるような企業の取り組みや、リビングに仕事や勉強などに使えるワークスペースを設けるといったプランも登場してSUUMOの提唱してきた「リビ充」もすすむことでしょう。
この「時短ニーズ」は住宅の立地についてもみられ、「育住近接」がキーワードになるとみます。国の「子育て安心プラン」の後押しもあり、保育施設や学童教育施設が併設されたマンション、住民同士が助け合う賃貸住宅が注目されているとのことです。
また、オシャレで資産価値が高いとしてもてはやされてきた恵比寿、吉祥寺といった「住んでみたい街」も、今後は住む・遊ぶ・食べるをワンストップで済ませられ(ごちゃまぜ感)、自分らしさを加味できる大宮や浦和といった郊外の中核都市へ人気が集中していくとの分析結果を膨大なデータとともに紹介されました。
こうして1時間弱で実に盛りだくさんの内容。以前別の登壇機会にブルースタジオの大島芳彦さんのアツい講演が押してしまいご自身が語り足りなかったのか、意地のプレゼンテーションでした。
取材=Fy7d・遠藤義人