コラム
これは、とある惑星の、とあるストック型社会を迎えた国でのお話。
「こらからの住まいをどうしよう?」
そんな素朴な疑問の前に現れた “リノベーション” という選択肢。なんとなくおしゃれな暮らし方、という印象はあるけれど、そこにどんなメリットや特徴があるのでしょう?
普通で平凡なふたりが、リノベーションを学んでいく物語、はじまりはじまり。
このお話の登場人物
Buuちゃん
好奇心旺盛で議論好きな性格。「いつかはリノベ!」と考えているが、知識はまだあまりない。吉祥寺の実家で両親と同居中。
Zoumoくん
おっとりしてるが勉強熱心な、Buuちゃんのよき相談相手。好物は宇宙植物のサラダ。好きな言葉は「猪突猛進」。
<ちょっとZoumoくーん、聞いてよ―(泣)
<あ、ズーモじゃないよ、ゾウモね。
<・・・あたしね、いま実家をどうしようか悩んでるの。最近リノベってよく聞くし、雑誌とかに載ってる写真も素敵でしょ。住んでるのも若い人が多くて、中古なのになんだか楽しそうで。
築85年の木造住宅をリノベーションして、シェアハウスに再生
出展:リノベーション・オブ・ザ・イヤー2014『わの家 千峰』
<Buuちゃんって独り身だっけ? いつもコメントは若いけど。
<え、年齢不詳だって? まあそれは置いといて、このまえウチの親に実家のリノベーション資金をおねだりしようと思って話したら、「それってリフォームと何が違うの?」って聞かれて。思わず「何が?」って聞き返しちゃったの・・・。
<それで、ボーッと生きてんじゃねえよ! って怒られたって? いちおう正解はね、「リフォーム=新築時の目論見に近づくよう復元すること」「リノベーション=新築時の目論見とは違う次元に改修すること」と国土交通省が定義したことになっている。けれど、じつは法律上明確な規定はないんだゾウ。
<ふう、ゾウなんだあ(スマホで検索中)
・・・ホントだ、いろんな人がいろんな定義してるんだね。
<たとえばHOME’Sでは「規模が大きい」「修繕を超えて刷新」とあるよ。
<いっぽうSUUMOでは「用途や機能を変更」して「価値を高める」点を重視してるように読める。
<「新しい世界をつくりあげていく手法。リサイクル×イノベーション」という説明まであるわよ。
参考:一般社団法人リノベーション協議会『リノベーションとは』
<お〜Buuちゃん偉い、よくみつけたね! 実は語源をたどるとリフォームはもともと洋服のお直しのことで、古くなったものを繕い使い続けるイメージ。リノベーションは英語で「改修」の意味で、用途変更する場合も含む、という説明がされているよ。
<なるほど〜。たしかにリノベーション協議会のHPに「中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと」とあるわ。
<中古はボロいものとして新品の状態を取り戻そうというより、いまある姿をポジティブに見立ててトータルでもっといいものに!というニュアンスがあるのね。
<その延長線上に、「新しい世界観をつくりあげていく」とか、「物件単位でなく、それが構成するまちの物語再構築」といった社会的な取り組みに繋がってくるわけだね。
リノベーションをよりわかりやすく伝えするために作られたショールーム
出展:リノベーション・オブ・ザ・イヤー2014『仙台Rゲート』
<リノベーション住宅推進協議会が「住宅」を取り払って、9月1日にリノベーション協議会になったのにも、そんな背景があるのかな。
<とはいうものの、既存の住宅に限って言えば、リフォームもリノベーションも建築に手を加えて暮らしやすくするということだから同じと言ってもいいんだ。
<えー!! いろいろ言っといて、それかいー!(笑
<まあ怒らないでよ。いろいろ紹介して言いたかったのは、古い家に手を加えるという「行為」だけをみるよりも、自分色に染め上げたいとか、地域の役に立ちたいとかいう「意思」がリノベーションを面白くしているんじゃないかってことなんだ。
<そっかあ、たしかに建物自体の資産価値という意味では、あまりにも個性的な家は売るときに困るかも・・・。
<そう考えてくると、やっぱり住み手の主観的な想いこそが価値という方が、夢見るオトメBuuちゃんには伝わりやすいかな〜と。
アートと洋服と家具をギャラリーのようにコレクションした個人宅リノベーション
出展:リノベーション・オブ・ザ・イヤー2015『あなたらしく。ファッションのように』
<思い出が詰まった家だから、新築以上にお金を掛けてでもあえてリノベで・・・というのもあるもんね。いっぽうでまち起こしのような地方都市リノベーションでは事業性こそが重要だけど、やっぱり「当事者による主体的な取り組みこそが大切」といわれてるみたい。
<すごいねBuuちゃん。そこに着目すると、リノベーションの核心は建物の使用「目的」を変えることにこそあり、それが端的に表れる場面が「住み替え」という再定義があるんだけれど、すごくストンと落ちる。
銀行として機能していた建物を、住まいに用途変更
出展:リノベーション・オブ・ザ・イヤー2017『銀行を住まいにコンバージョン』
<リフォームはいま暮らしている建物を直して住み続ける感じだけど、リノベーションは新しい住み手が意思を持って引き継ぎ施すイメージなのね。
<この定義だと、建物の修繕だけじゃなく、土地探しから面倒みてくれたり、ローンも一括で組めるといったいまトレンドのサービスにもしっくりくるね。
<ほかにリノベーションを定義して正しく括っておくとどんなメリットがあるかしら?
<「リノベーション事業」の統計を取って分析する場合もそうだろうし、法律上の保護や規制をどこまで及ぼすべきかといった場面でも意味があるんじゃないかな。
<「リノベ」会社を名乗る業者が乱立するとトラブルの原因にもなりかねないもんね。ホントにたくさんある中で、いったいどのリノベ会社にウチをお願いしたらいいのかしら・・・。
<Buuちゃんの言うとおり、検索すればたくさんでてくるし、どこが安心か知りたいよね。そこであらかじめ定めた統一規格に合ったものを「適合リノベーション住宅」として一種のお墨付きを与えることにしたんだ。
参考:
一般社団法人リノベーション協議会『適合リノベーション住宅とは』
<今回のこのEXPOに参加している事業者は、みんなこの「適合リノベーション住宅」を供給しているということだから安心ね!
さっそく相談してみようっと。